細菌やウイルスが胃腸へ感染すると、発熱や腹痛、嘔吐(おうと)、下痢、血便などの症状が表れます。昔は赤痢、コレラ、腸チフスなどの胃腸炎が多くありました。現在はサルモネラ胃腸炎やO157に代表される腸管出血性大腸菌感染症などの細菌性胃腸炎や、ロタウイルスや小型球形ウイルス(SRSV)などによるウイルス性胃腸炎が一般的です。
広がり方は、細菌やウイルスに汚染した食べ物や飲み水、患者の便や吐物から経口感染したり、唾液(だえき)から飛沫(ひまつ)感染したりします。防ぐためには、便や吐物はビニール袋に入れ廃棄し、汚れた衣服や寝具、食器などは一般のものと区分けし、市販の消毒液で一定時間処理する必要があります。手洗いの励行やトイレのノブや便器の消毒も大切です。
サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌などは、牛や羊、ニワトリなどさまざまな動物の消化管に常在しており、菌に汚染した食肉や生卵などを食べることで感染します。
ロタウイルス胃腸炎は、ウイルスが感染し1〜3日で突然嘔吐と発熱があり、灰白色の水様便が頻繁に出ます。またSRSV胃腸炎は、汚染された飲み水や、生ガキ、サラダなど生の食べ物で感染し、学校や幼稚園、飲食店などで集団発生するためSRSV食中毒ともいわれています。
また、夏は風邪ウイルスのコクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどの胃腸炎があります。これらは下痢だけでなく、無菌性髄膜炎や口の粘膜に水泡ができ高い熱の出るヘルパンギーナという病気も起こします。
胃腸炎の治療で一番大切なのは家庭での食事療法です。吐き気が強く長い間水分をとれず、元気がなく唇が乾燥し尿の出が悪い場合などは点滴が必要になります。吐き気はふつう半日程度で収まりますので、市販のスポーツドリンクや、子供用に薬局で販売されているイオン飲料水などの電解質液を少しずつ飲ませましょう。
もし電解質液を嫌がる場合は、湯冷ましや番茶の他にみそ汁など塩分を含むものを与え、体液のバランスが崩れないよう注意してください。母乳は制限することなく飲ませてかまいません。ミルクは薄めたものを少量ずつあげましょう。食欲のない場合は1回の量を減らし回数を増やしましょう。離乳食は離乳前期や中期に戻し少量で始めるとよいと思います。
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