ぜんそくの治療は発作時と発作予防の二つに分けられます。発作は命にかかわる危険な場合もあり、速やかな治療がとても重要です。それほど重くない発作でも早く楽にしてあげたいというのがご両親の願いでしょう。
ぜんそくの発作は夜に悪化することが多いので、あらかじめ発作時の飲み薬や吸入薬、張り薬などをもらっておくと良いでしょう。それらの薬を使っても、苦しくて眠れない、食べ物を受け付けないといった症状が続く場合には速やかに受診する必要があります。
何度も発作を起こす場合には発作を治すだけではなく、予防する治療が必要になります。ぜんそくの治療は“アレルギー性炎症”を抑えることが重要で、成人では炎症を抑える作用が最も強力な吸入ステロイド薬が主な治療法です。この薬の副作用を心配される方も多いのですが、小児での安全性も認められています。日本小児アレルギー学会の小児ぜんそく治療ガイドラインでは、年長児のぜんそく予防治療には早期からの吸入ステロイド薬使用が推奨されています。
ステロイド以外にはインタール吸入薬やロイコトリエン拮抗(きっこう)薬(オノン、シングレア、キプレス)、テオフィリン製剤(テオドール、テオロングなど)が発作予防に用いられます。いずれも炎症を抑える作用を持つ薬剤であり、これらの予防薬の中からそれぞれの子にあった薬剤を選択し、時には組み合わせて使います。
発作時に用いられる吸入薬(ベネトリン、メプチンなど)は一時的に呼吸を楽にする効果はありますが、炎症を抑える作用はないので発作が多いときは必ず予防薬と併用します。
日常生活の注意点としては、ほとんどのぜんそく児はハウスダスト、チリダニにアレルギー反応をもっていますので、日常の掃除などダニ対策が大変重要です。しかし多くの場合、高価な防ダニ寝具や器具を買いそろえる必要はありません。毎日の服薬や発作の状態を記録するぜんそく日誌も、より良い治療法の選択や生活指導を行う上で欠かせません。
適切な予防治療を継続することにより、ぜんそくの子どもたちの多くは、健康児と何ら違いのない生活を送れるようなります。発作のない状態を維持することが“ぜんそくを治す”ことにもつながるのです。
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