小児科の待合室からお母さんたちの会話が聞こえてきます。「うちの子は10カ月でもう歩いて、お話もするんですよ」。これを聞いて、まだ歩いていない10カ月児のお母さんは「うちの子遅いのかしら」と焦ってしまいます。
子供の成長発達は体と知的・運動能力の2つに分けて考えます。そして大切なことは、一人ひとりが大きく違うので、他の子供と比較しないで、長い目でゆっくりと見ることです。平均的な発達とその幅がありますので、焦らないで子供の可能性を信じてください。
体の発達については、身長や体重の増加は一定でなく、急に増加する時と停滞している時があります。母子手帳に載っている身体発達曲線を見て、3−97%の範囲に入っている場合は、大きい子は大きいなり、小さい子は小さいなりに発達していれば心配いりません。この範囲に入っていない時は発達に偏りがあると考えますが、元気で食欲も十分にあれば、かかりつけ医と相談しながら経過を見てください。
運動発達の月齢
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首の座り |
3カ月
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寝返り |
4.5−5カ月
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独り座り |
7−8.5カ月
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はいはい |
7.5−8カ月
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つかまり立ち |
8−9カ月
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独り歩き |
12−13カ月
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体の発育のほかに、知的発達や運動能力の発達にも気を配りましょう。母子手帳の「保護者の記録」に月齢に合わせて子供の様子を書き込むと、発達が早いか、平均的か、遅れているかが、分かるようにできています。
運動能力の発達で、九割の子供ができるようになる月齢を表にまとめました。照らし合わせて、お子さんが平均的な発育をしていたら安心してください。大きく偏るようでしたら、かかりつけ医と相談してください。
知的発達では言葉の発達が大切です。9カ月から10カ月ごろには周りの人の言葉のまねが始まります。12カ月ごろになると自発的な単語「マンマ、ワンワン」などが出て意思を伝えることができるようになります。2歳ころには二語文「パパイッタ、マンマナイ」などと言って会話ができるようになります。個性が出てきて育児が楽しくなってきます。
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